妊活女性の間で葉酸がブームになってはや数年。
もう落ち着くかと思ったが、検索数もいまだに伸びている。
まあ、中身が一過性の流行ではなくて、本当に妊娠の可能性のあるすべての女性が知るべきことだから、逆にブームが沈静化してもらっては困るのだが。
葉酸とは何かを説明しておくと、これはB群に属するビタミンの一種。
機能としてはDNAの正常な複製と造血に重要な働きをする。
黄緑色野菜やレバーに多く含まれ、普段は食事で十分摂取できる。
ところが、妊娠初期の女性は必要量が約2倍になる。
その詳しい理由は知らないが、胎児ができることでDNA複製や造血の反応が大幅に増えるからだろう。
世のほとんどの女性はこの事実を知らず、その時期に葉酸不足に陥っている危険がある。
で、何がまずいかというと、妊娠初期に葉酸が不足すると、ある種の先天異常の発生率が高まるのだ。
いや、学問的に正確に言うと、十分な葉酸を供給すると発生率が半分から1/3に下がるのだ。
足らないと危険が増すとはいえないが、あると危険が減るという言い方が正しいらしい。
で、葉酸が発生率を下げる先天異常というのは、神経管閉鎖障害というもの。
神経管というのは脳と脊椎の原型で、これがちゃんと閉じた管状にならないのが神経管閉鎖障害。
脳が欠落した赤ちゃんが生まれたり、一生歩けない子ができたりするそうだ。
たしかにそれはかわいそうなので、これから赤ちゃんを産もうという女性には、正確な知識をもってできるだけのことをしてほしい。
厚生労働省としても2000年からその啓発を始めた。
それが今日の葉酸ブームのそもそものきっかけらしい。
サプリのブームは生まれては消えていく泡沫のようなものだが、葉酸サプリだけはすっかり定着して常識になるまで続いてほしいものである。